氷なし

ここのところめっきり暖かくなって、初夏といった陽気。

いつも飲んでるコーヒーもホットからアイスへ。

カップ式の自動販売機。
ホットとアイスとお茶なんかが飲める。

カップ式のその自販機には、『クリーム増』や『クリーム減』、『砂糖増』や『砂糖減』といったボタンがある。
そしてその中心に堂々たる存在感を放つ『氷なし』のボタン。

ストローがない場合、アイスコーヒーの氷は邪魔だしいらないと常々思っている私は迷うことなくその『氷なし』ボタンを。
もちろん商品ボタンを押すより先に押した。

『氷なし』ボタンの下にはこれまた堂々と『商品ボタンを押す前に押してください』とあったからだ。
それを私は見逃さなかったし、うっかり先に押すのを忘れるようなヘマもしなかった。

つまりなんの落ち度もなく、無事にアイスコーヒーのボタンを押したのである。

そしてボタンを押して0.5秒の間を置いた頃、聞こえるはずのない音が聞こえてきた。

『ｶﾗｶﾗｶﾗｶﾗｶﾗｶﾗ・・・・』

思わず『氷なし』ボタンを凝視。
「承ってます」と言わんばかりにしっかりと赤く点灯している。

「信じてるよ」と私はボタンに小声で呟く。

しかし私の願いは届くことはなかった。

『出来上がり』のランプが光り、カップを取り出すと予想通り細かく砕かれた氷たちがたっぷり。

『氷なし』ボタンは何事もなかったかのように赤い点灯を止め、シレーっと存在感だけを保っている。

ちょっとした誤作動だろうと目をつぶったのが一昨日の話。

それから今日まで1日に3回は『氷なし』ボタンを押してアイスコーヒーを飲んでいる。
今日までアイスコーヒーにはしっかり細かく砕かれた氷たちがたっぷり入っている。

『氷なし』ボタンを押して『ｶﾗｶﾗｶﾗｶﾗ・・・』と聞こてきた時の裏切られた感。
ガックリと肩を落とす日々です。






















〔NEXT LIVE〕
2011/6/12(日)池袋 cafe pause　
出演　アトリエ/SandalSoul　
■OPEN 19:00　START　19：30
■TICKET　Free